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偕楽園の魅力向上へ 「歴史性やストーリー性、前面に」 水戸でシンポ
偕楽園公園の魅力向上を考えるシンポジウムが27日、水戸市三の丸の県立図書館であり、パネリストが「偕楽園と弘道館を創建した水戸藩主徳川斉昭の思いを含め歴史性やストーリー性を打ち出すべきだ」と訴えた。偕楽園公園を愛する市民の会が主催した。
基調講演として県立歴史館の永井博・史料学芸部長が解説。「偕楽園と弘道館はどちらも教育施設であり、斉昭の非凡さを最も端的に表現している。設立の背景には水戸藩士の人間性の向上があった。初めて水戸に来た時に組織として成り立っていないと感じたのだろう」と話した。偕楽園は好文亭を中心に設計され、四季折々の楽しみがあると指摘した。
パネルディスカッションで茨城交通の任田正史社長は「梅だけではない偕楽園の魅力発信が必要だ。梅まつり期間中は1万人以上がバスを利用するが、それ以外の時期は少ない」と現状を明かした。「他県の人にはストーリー性が理解されていない」と話した。
同市千波町のボウリング場跡地について、水戸青年会議所の早川裕之副理事長は「都市公園の質向上を図るためのパークPFI(民間資金活用による社会資本整備)がある」と整備手法の一例を紹介した。
県造園建設業協会の猪瀬清次相談役は「県営釜神町アパートは千波湖を見下ろせる。公共用地では唯一残っている場所。アイデアを練るべき」と提唱した。
水戸商工会議所女性会の森美木副会長は「案内ルートが必要。偕楽園の表門から入ってもらい、人の波を生み出すべき」と提案した。
永井部長は「ただきれいな公園では人は集まらない。オンリーワンが必要。偕楽園は思想性があって成り立っている」と述べた。
同市民の会は2018年4月に提言書を県や市に提出している。大名庭園サミットを11月11日に市内で開く予定。(清水英彦)
★偕楽園
1842年に徳川斉昭により造園された。前年に開館した弘道館が文武修業の藩校であるのに対し、偕楽園は心身の保養地として位置付けられた。偕楽園と弘道館は一対の教育施設だった。