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別府市の洋菓子店「ニュードラゴン」流川店、惜別の閉店 東荘園店と一本化 /大分

 別府市の洋菓子店「ニュードラゴン」の流川店(別府市中央町)が12月31日に閉店し、東荘園店に統合される。半世紀にわたって愛されてきた地域の顔が惜しまれながら姿を消す。(大分経済新聞)「名残惜しい」と話す「ニュードラゴン」店主の笠木さん 繁華街を抜ける流川通りに、先代の笠木敏弘さん(故人)が1970(昭和45)年に創業した。ロールケーキ発祥の地とされ、敏弘さんの腕に引かれて多くの職人が集まった。スポンジやクリーム、焼き菓子のレシピは不変。研ぎ澄まされた味を提供する町の洋菓子店として、長きにわたって市民や観光客らに愛されてきた。主なメニューはドラゴンロール1200円、やわらかシュー173円、フルーツショート400円など。

 1987(昭和62)年に東荘園店(別府市東荘園町)を開店。事業は順調で流川店の売り上げも堅調に推移しているが、時代の移り変わりとともに従業員の雇用や労働の形態が変わり、生産能力の維持が難しくなったという。2代目の笠木隆弘さん(51)は「洋菓子は季節やイベントによって販売数が大きく変わる。昔は、暇なときは帰ったし、クリスマスのような忙しい時は総出で徹夜したが、今はさまざまな理由でそういった働き方は難しい」と話す。

 同店では今後も品質、種類、価格を変えずに「ニュードラゴン」の看板を掲げていくには事業の根本からの見直しが必要と判断。2店舗を統合して業務の効率化を図る方針を固め、「寂しい区切り」を受け入れることにした。

 「実は12年前に父を亡くした頃から統合の話はあったが、思い出の詰まった店を閉めたくはなかった。自分のわがままだけで2店舗体制をずっと続けてきた」と笠木さん。「小学校から帰ってきて勝手にショーケースを開けてケーキを食べていたことを思い出す。両親が頑張ってきた姿も見てきた。名残惜しい」

 すでに生産ラインは全て本店機能を持つ東荘園店に移しており、流川店は11月から販売のみとしている。11月下旬に両店に張り紙で閉店を告知したところ、「先代の頃からここに買いに来ていたので寂しい」など多くの惜別の声が寄せられたという。

 年末年始も忙しく、笠木さんは「店じまいには立ち会えないと思う。年明けの落ち着いた時に足を運んでゆっくり思い出に浸りたい」と話す。一方で、「統合することで、今後はこれまで対応できなかったイベント出店などもできるようになる。これまでの歴史を受け継ぎながら次のステージに進みたい」と意気込む。

 12月26日から「ご愛顧の印」として両店で購入客に新商品のラスクを進呈する予定。笠木さんは「ここまでこられたのも温かいお客さんのおかげ。心から感謝したい。ニュードラゴンの味は変わらないので、統合する来年からもこれまで同様に愛してもらえるとうれしい」と話している。